学校や保育園などの集団生活の場に馴染めず困っているお子さまが、環境に適応して過ごしやすくなることを目指して集団生活の場に訪問し、関わり方を提案していく支援サービスです。
訪問について
2週間に1回程度の訪問を繰り返し、
子どもが過ごしている状況をしっかりと理解して
信頼関係を築いていきます。
子どもが望む生活を聞き取り、
先生方や保護者の方の気持ちを汲み、
支援の仕方を工夫していくことで
「支援の輪」を作り上げていきます。
直接支援
子ども自身の体験をサポート
直接支援とは、支援者(訪問支援員)が子ども本人に対して直接的に行う支援です。
例えば、
- 順番待ちや交代などのルールの理解を促す
- 片付けや準備などの活動の順序の理解を促す
- 朝の会や給食などへの適切な参加方法を実践する
- 玩具の共有や貸し借りを練習する
- 要求や気持ちの伝え方を練習する
- 適切な大きさの声に調整する
- クールダウンの方法を一緒に実践する
子ども本人が成功体験を重ねながら、
周囲の人々となじんで過ごすための方法を一緒に学び実践していきます。
子どもたちが“困っている”のは、“分からない”からです。
私たちアルカラは、子どもが支援者の言葉を受け入れやすい対応方法を心がけています。
- 肯定的なフィードバックをする
- 肯定的な言葉を使う
- 子どもの行動を待つ
私たちは、子どもたちが
誰と、どこで、何について、どのような困り感を持つのかを解き明かし、
彼らが望むより良い社会との接し方をサポートします。
間接支援
周囲の大人の対応方法や声かけの仕方、物理的な環境の作り方などをアドバイス
間接支援とは、子どもを取り巻く環境や関係者に対して行う支援です。
例えば、小学校の先生に
- 子どもの障害特性や“困り感”について説明する
- 子どもがとった行動の背景を解説する
- 子どもが得意なこと、不得意なことを共有する
- パニックを起こしたときの対処法を伝える
- 効果的な声かけのしかたを伝える
他にも、
- 休憩場所を作る
- 座席の位置を工夫する
- 活動の順番を変更する
など、子どもが過ごす環境を整えることも提案します。
子どもたちに合わせた環境整備を提案することと、
先生たちと共にその環境を実現することが私たちの任務です。
環境を整えることで、子どもたちが望む集団生活を実現することを目指します。
支援した子どもの事例
Aさんの支援事例
困っていたこと:
- ルールが守れず、みんなと一緒の活動をするとトラブルが多い
- 友だちから注意されると余計に落ち着かなくなり、イライラすると怒鳴ったり手が出てしまう
- 何度も約束をしているが効果が得られない。
アルカラが見つけたこと
障害特性によるもの:
- 衝動的に行動してしまう
- 行動量が多く、適切にコントロールできない
- 先生や友だちが話す内容を捉えにくい
できていること:
- 係や授業といった活動に主体的に参加できている場面もある
目標設定:
- 落ち着いて係の仕事ができる体験を重ねること
Aさん本人への支援(直接支援)
気持ちに対処しクールダウンするための方法を一緒に考え実践しました。
- 別室にて面談し、「何かしんどかった?」と気持ちを確認
- 「しんどいとき、どうやったらうまくいくかな?」と作戦会議
- いくつか案が出てきたため、本人が選んだ「学校ぐるっと一周作戦」に挑戦
- 一度やってみると「すっきりしたー」と自分でも落ち着けることを実感できた
教室の環境へのアプローチや先生への支援(間接支援)
- 席の位置を変更(先生が声かけをしやすい位置)
- 先生に声かけのしかたを提案
(行動するべき時の直前に短く端的な言い方で伝えること、うまくできたら皆の前で褒めることなど) - 係の仕事は毎回同じ仕事に設定
- 係の仕事をする時間を、落ち着いている時間帯に設定
先生へのフィードバック
先生のご対応のなかで、適切に関わっていただいている部分を挙げてお伝えしました。
- 気持ちを切り替えやすくするため事前予告している
- 適切な頻度で声掛けしている
- イライラしている時に、余計な刺激をせずにじっくり待ってくれている
この対応を続けながら、係の仕事のやり方を工夫して
「できた」という経験を重ねて自信をつけることを提案しました。
また、Aさんは、できることが増えれば気持ちが落ち着き、トラブルが減ると予想されることをお伝えしました。
保護者へのフィードバック
Aさんが学校でできていることや成長していることをお伝えしました。
できたことを訪問の度に共有し、家庭でも褒めていただくようにお願いしました。
この対応を積み重ねていくことで、家庭でも落ち着いた気持ちで過ごし、積極的にお手伝いをする場面も増えると予想されることをお伝えしました。
Aさんへの支援の結果
- 上手に係の仕事をしていることを褒められて、毎日、朝当番のカレンダーの仕事を率先してやってくれるようになった。
- 家でもお手伝いをする姿が増え、お母さんが「Aくん、ありがとう。」と感謝を伝えられる場面が増えた。
- イライラした時に、「先生、いってくる」と、廊下を一周して自らクールダウンできることが増えた。
Bさんの事例
困っていたこと:
- 活動の時間に座って説明を聞けず、すぐに席を離れてしまう
- イスを用意しても、走っていってしまい座っていられない
- ルーティンが崩れると泣いて癇癪を起こし、その後の活動に参加できなくなる
アルカラが見つけたこと
障害特性によるもの:
- ルーティンが崩れるとパニックになる
- 視覚的な刺激に気を取られている
- 視覚的な刺激に反応して衝動的に移動してしまう
できていること:
- 座っていられるときもあり、常に動いている訳ではない
目標設定:
- パニックの時間が減り、登園から朝の活動まで混乱なく参加できること。
Bさん本人への支援(直接支援)
- 朝の流れを絵や写真で確認し、好きな遊びができるタイミングを理解してもらう
- 今からやる活動について、スプーンやハサミ、石鹸など具体的な物品を見せて説明する
教室の環境へのアプローチや先生への支援(間接支援)
- パニックを起こしたときは無理に次の活動に移らず、1対1で対応しながら収まるまで待つことを提案
- 視覚的な刺激となっていたお気に入りのおもちゃの位置を変える
- 話を聞くときには外の園庭が見えないように席を設定
先生へのフィードバック
もともとBさんのことを細かく観察してくださっていたので、支援員と観察内容をすり合わせました。
また、視覚情報の影響が大きいことをふまえた上記のような対応方法をお伝えしました。
保護者へのフィードバック
家庭でも同様のパニックを起こしていたため、園と同じように視覚刺激を減らしたり、視覚情報を使って説明したりする方法をお伝えしました。ご家庭の状況に合わせて取り入れやすいようアドバイスしました。
Bさんへの支援の結果
- 支援前は活動の際に離席していたが、集中して取り組めるようになった。
- 絵や写真を使って事前に説明することで、いつもと違う活動があるときでもパニックを起こす頻度が減った。